日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
MALL-NPHP1遺伝子欠失を認めたSenior-Loken症候群の1例
石松 菜那大塚 泰史岡 政史濱崎 雄平青木 茂久杉本 圭相竹村 司
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2011 年 24 巻 2 号 p. 236-240

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抄録
 ネフロン癆は,腎髄質に嚢胞を認め小児期に末期腎不全に至る,稀な常染色体劣性遺伝疾患である。
 症例は8歳女児,気管支喘息で前医に入院時に腎機能障害を指摘され,当科を紹介された。尿検査では低比重尿と尿細管機能障害がみられた。MRIで皮髄境界部に小嚢胞を認め,腎生検では慢性尿細管間質性腎炎が主体の末期腎不全の所見であった。ネフロン癆を考え,責任遺伝子の一つであるNPHP1 (2q 12~13) をPCR (polymerase chain reaction) 法により検索し,欠失が疑われた。そのため高密度SNP (single nucleotide polymorphism) アレイを施行し,NPHP1とMALLの一部を含む欠失を認め,NPHP1のホモ接合欠失によるネフロン癆と診断した。眼科受診にて眼底の色調変化と網膜電図での反応低下がみられたため,Senior-Loken症候群と診断した。ネフロン癆の責任遺伝子や病態は多彩である。本症例ではSNPアレイを行うことでMALLを含むNPHP1のホモ接合欠失を詳細に検討できた。
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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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