日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
腎内レニン・アンジオテンシン系活性化と尿中アンジオテンシノーゲン
漆原 真樹
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2012 年 25 巻 2 号 p. 121-126

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抄録
 腎臓内におけるレニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin system: RAS)の活性化は高血圧だけでなく腎障害の進展にも深く関与している。アンジオテンシノーゲンはRASの唯一の基質であり肝臓だけでなく腎臓でも産生されている。近年,動物モデルや培養細胞による研究で腎臓内におけるアンジオテンシノーゲンが高血圧や腎障害の発症進展機序に関与していることが証明され,尿中に排泄されたアンジオテンシノーゲンが腎臓で発現しているアンジオテンシノーゲンを反映し,腎内RASの活性化を示していることが明らかとなった。そして,ヒトにおける研究でも成人の高血圧,慢性腎臓病患者,小児の慢性糸球体腎炎や1型糖尿病患者において尿中のアンジオテンシノーゲン排泄量は増加しており,腎内RAS活性化の優れた指標であった。尿中アンジオテンシノーゲンは腎障害における新たなバイオマーカーになると期待できる。
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© 2012 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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