高度蛋白尿を呈するも,ステロイド剤やACEI,ARBを含む多剤併用療法に良好な反応を示した紫斑病性腎炎の小児10例について検討した。8例は1.0g/day/m
2以上の蛋白尿もしくは早朝尿蛋白/尿クレアチニン比1.0 g/g以上が少なくとも1~2か月程度続き,残りの2例は発症時すでに低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL未満)に陥っていた。いずれの症例も治療開始後は比較的すみやかに蛋白尿が消失した。再評価の腎生検では病理組織の改善も確認され,ステロイド剤を中止してから少なくとも18か月間以上の経過観察を続けたが,尿所見が再増悪する例はなかった。高度蛋白尿を呈する紫斑病性腎炎症例でも,ステロイド剤やACEI,ARBを含む多剤併用療法により改善を期待しうると思われた。
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