2013 年 26 巻 1 号 p. 7-12
溶血性尿毒症症候群(HUS)でurinary neutrophil gelatinase-associated lipocalin(uNGAL)を測定し,重症度と臨床経過との関連を検討した。対象:年齢2~3歳のHUS患児3例。方法:急性腎障害の重症度はpRIFLE criteriaに従い,血清クレアチニンと尿量から分類した。uNGALは免疫比濁法で測定した。結果:急性腎障害の最重症Fに分類された2例のうち,1例は無尿のため腹膜透析を必要とし,uNGALは高値(4,597 ng/ml)であった。もう1例のuNGALは低値(78.9 ng/ml)で水分管理で改善し,腎前性の関与が疑われた。軽症Rに分類された1例のuNGALはさらに低く(4.3 ng/ml),水分管理で改善した。結論:HUSの患児において,uNGALは血清クレアチニンによるpRIFLE criteriaで判別できない腎前性腎不全を判定できる可能性が示唆された。