日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
原著
溶血性尿毒症症候群における urinary neutrophil gelatinase-associated lipocalinの測定
石川 健武藤 秀和佐々木 慎古川 ひろみ高田 彰松本 敦千田 勝一石澤 毅士諏訪部 章
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 26 巻 1 号 p. 7-12

詳細
抄録

 溶血性尿毒症症候群(HUS)でurinary neutrophil gelatinase-associated lipocalin(uNGAL)を測定し,重症度と臨床経過との関連を検討した。対象:年齢2~3歳のHUS患児3例。方法:急性腎障害の重症度はpRIFLE criteriaに従い,血清クレアチニンと尿量から分類した。uNGALは免疫比濁法で測定した。結果:急性腎障害の最重症Fに分類された2例のうち,1例は無尿のため腹膜透析を必要とし,uNGALは高値(4,597 ng/ml)であった。もう1例のuNGALは低値(78.9 ng/ml)で水分管理で改善し,腎前性の関与が疑われた。軽症Rに分類された1例のuNGALはさらに低く(4.3 ng/ml),水分管理で改善した。結論:HUSの患児において,uNGALは血清クレアチニンによるpRIFLE criteriaで判別できない腎前性腎不全を判定できる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top