日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
エビデンスに基づく小児IgA 腎症の治療
中西 浩一
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2016 年 29 巻 2 号 p. 94-101

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抄録

本邦では学校検尿によりIgA 腎症が早期に発見され,発症早期からの臨床試験が可能であり,世界にその成果を発信している。その成果を踏まえ日本小児腎臓病学会により「小児IgA 腎症治療ガイドライン1.0 版」が作成され,臨床的・組織的重症度に基づき2 つに分類して指針が示されている。重症小児IgA 腎症の治療法として,プレドニゾロン+アザチオプリン+ヘパリン・ワーファリン+ジピリダモールによる早期の多剤併用治療は腎炎の進行を阻止し,長期予後も改善する。RA 系抑制薬を中心とする免疫抑制療法以外の治療は,単独では主に比較的予後良好と考えられる軽度蛋白尿/微小変化・巣状メサンギウム増殖を示す軽症IgA 腎症がまずその対象になる。昨今,本邦では成人を中心にIgA 腎症の治療として扁桃摘出+ステロイドパルス療法が広く施行されているが,現時点において小児IgA 腎症の治療として扁桃摘出を積極的に推奨する根拠は存在しない。

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© 2016 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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