2017 年 30 巻 1 号 p. 48-53
溶連菌感染後急性糸球体腎炎(acute poststreptococcal glomerulonephritis: APSGN)は,小児において最も頻度の多い感染後急性糸球体腎炎である。一部の症例において,尿所見がみられない,もしくは非常に軽微な場合があり,腎外症候性APSGN として知られている。
症例は9 歳男児。3 日前からの腹部膨満,食欲減衰を主訴に受診した。体重増加,高血圧,浮腫,肝脾腫を認めた。先行感染症状はなく尿所見は軽微であったが,ASO の上昇,低補体血症を認め,腎外症候性APSGN と診断した。対症療法で管理され,利尿にともない肝脾腫の改善を認めた。後遺症なく入院11 日目に退院となった。フォローアップにおいて補体の回復を認め,腎炎の再燃はみられなかった。小児において浮腫,高血圧の鑑別疾患の一つとして,留意すべき疾患である。