日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
症例報告
高血圧,浮腫,著明な肝脾腫で発症した腎外症候性溶連菌感染後急性糸球体腎炎の1例
松木 琢磨熊谷 直憲中山 真紀子川嶋 明香上村 美季菅野 潤子呉 繁夫
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 30 巻 1 号 p. 48-53

詳細
抄録

溶連菌感染後急性糸球体腎炎(acute poststreptococcal glomerulonephritis: APSGN)は,小児において最も頻度の多い感染後急性糸球体腎炎である。一部の症例において,尿所見がみられない,もしくは非常に軽微な場合があり,腎外症候性APSGN として知られている。

症例は9 歳男児。3 日前からの腹部膨満,食欲減衰を主訴に受診した。体重増加,高血圧,浮腫,肝脾腫を認めた。先行感染症状はなく尿所見は軽微であったが,ASO の上昇,低補体血症を認め,腎外症候性APSGN と診断した。対症療法で管理され,利尿にともない肝脾腫の改善を認めた。後遺症なく入院11 日目に退院となった。フォローアップにおいて補体の回復を認め,腎炎の再燃はみられなかった。小児において浮腫,高血圧の鑑別疾患の一つとして,留意すべき疾患である。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top