2017 年 30 巻 1 号 p. 60-67
症例は13 歳,女児。入院16 日前より,38°C の発熱を認めたため近医を受診し,投薬歴のある抗菌薬を処方された。同時に初めてロキソプロフェンを処方されていた。抗菌薬2 回変更後も間欠熱が持続し,精査加療目的に当科紹介。入院時の血液検査では貧血,炎症反応の上昇と総IgE の高値を認めた。各種感染症検査,自己抗体検査は陰性で,尿所見では尿蛋白/尿クレアチニン(Cr)比,尿中白血球,尿β2 ミクログロブリンの軽度上昇を認め,中間尿細菌培養検査は陰性。腹部造影CT 検査で両腎に多発楔状造影不良域,腹部MRI 拡散強調像で両側腎実質にまだらな高信号を認め,腎生検を施行し,急性尿細管間質性腎炎の診断を得た。67Ga シンチグラフィでは異常集積を認めなかった。ロキソプロフェンのリンパ球幼若化試験が陽性であり,薬剤性急性尿細管間質性腎炎と診断した。本症例では診断に腹部MRI 拡散強調像が有用であり,補助診断法として早期診断治療に貢献するものと考えられた。