日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
難治性ステロイド依存性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ投与後の低IgG 血症と感染症
富井 祐治梅田 千里西野 智彦渡邊 佳孝櫻谷 浩志藤永 周一郎
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2020 年 33 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

難治性ネフローゼ症候群(NS)に対して,リツキシマブ(RTX)の使用頻度が増加し,免疫抑制薬の併用と晩期合併症である低IgG 血症に伴う感染症が懸念される.当科で2008 年2 月から2017 年6 月まで,難治性ステロイド依存性NS の74 名(合計178 回投与,投与時年齢13.8 歳)を対象とし,低IgG 血症(<500 mg/dl)と感染症について後方視的に検討した.RTX 投与後から6 か月後に低IgG 血症を20 投与(11%)に認めた.低IgG 血症群と正常群では年齢(6.1 vs 14.4 歳,p<0.01),およびRTX 投与前の血清IgG 値(426 vs 656 mg/dl,p<0.01)が有意に低かった.さらに1 年間の観察を行えた低IgG血症群15 名の中で,低IgG 血症が持続したのは8 名で,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の使用が有意に多かった(78 vs 17%,p<0.05).経時的にIgG 値が低下する2 名ではIgG 補充療法を行っている.本検討では感染症の合併は水痘1 名のみであったが,症例によってはIgG補充療法を考慮してもよい.

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© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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