2020 年 33 巻 1 号 p. 9-16
慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)のスクリーニングにおいて,超音波は低侵襲で有用な検査法である.小児の腎サイズは成長とともに変化することから,標準値の作成や疾患に関わる腎サイズの研究がなされてきた.簡便な指標である腎長径は年齢や身長と相関し,これらを用いて腎長径の標準値が得られる.囊胞腎や単腎症などの腎腫大や,低形成腎・異形成腎や腎瘢痕などの矮小腎では,腎長径を標準値と比較し鑑別することができる.またCKD では腎機能低下とともに腎サイズが減少するため,小児CKD の原因である先天性腎尿路異常や低出生体重児では,腎機能を推察するうえで,腎長径が重要な評価項目となるだろう.しかし腎長径の標準値は,国や人種などの集団で異なることが報告されている.今後CKD のスクリーニングや経過観察において,僅かな変化を評価する場合を考慮すると,より正確な日本人標準値の作成が必要である.