日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
小児がんの難治性腹水の治療に改良型腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART) が有効であった 2 例
三﨑 陽太郎熊谷 雄介新垣 智也平口 雪子大和 謙二野口 勇樹楠田 梨沙嶋津 啓二田中 敬雄山崎 夏維清益 功浩
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2020 年 33 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

小児の難治性腹水では,水分や塩分の制限などの一般的治療や利尿剤などの薬物療法以外に有効な手段に乏しい現状がある.今回,小児がん患者の難治性腹水に対して改良型腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART)を施行し, 効果的な症状緩和と QOL の改善が得られた 2 例について報告する.症例 1 は 13 歳男児.線維形成性小円形細胞腫の治療中,難治性腹水により抗腫瘍療法が継続困難であったが,KM-CART を 1 回施行した後より腹水は消失し,治療を再開できた.症例 2 は 3 歳男児.膵腺房細胞がんの治療後,緩和医療へ移行されていたところ,難治性腹水による諸症状により QOL が著しく阻害されていた.2 週間毎に KM-CART を 4 回繰り返し行い,症状が緩和された.KM-CART は小児においても難治性腹水に苦慮する症例では考慮されるべき治療法であると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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