日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
ネフローゼ症候群の治療中に心筋肥厚の増悪を繰り返し, プレドニゾロンが増悪因子と考えられた肥大型心筋症の 1 例
後藤 美和小林 杏奈金井 宏明喜瀬 広亮星合 美奈子沢登 恵美
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2020 年 33 巻 2 号 p. 149-155

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抄録

ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome: NS)の治療中に,心筋肥厚を認めた 1 例を経験した.グルココルチコイド(glucocorticoid: GC)投与により心筋肥厚が増悪し, 中止により軽快したことから心筋肥厚に GC が関与したと考えられた.心筋肥厚は GC 中止により改善傾向にあったが,初診から 5 年後に再度増悪し,最終的に患児は肥大型心筋症と診断された.本症例には心筋症の家族歴があり,こうした心筋疾患の素因を有する症例では, 高用量プレドニゾロン投与時に急速に心筋肥厚が増悪する可能性があるため,高用量のステロイド投与中は心機能評価をスクリーニングすることが望ましいと考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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