2020 年 33 巻 2 号 p. 183-190
MPO-ANCA 陽性の Goodpasture 症候群の 10 歳男児例を経験した.当科入院 2 週間前からの倦怠感,食思低下を契機に腎機能障害(Cre 8.19 mg/dl),抗 GBM 抗体・MPO-ANCA 陽性,さらに胸部 CT にて肺出血を示唆するスリガラス状陰影が発見され,前医より当科転院となった.血漿交換療法(PE)およびステロイドパルス療法にて肺病変の消失と抗体価の陰性化を認めたが,腎機能は改善しなかった.腎生検にて 98%の糸球体に硬化病変を認め,IgG が GBM に線状に沈着していた.夜間腹膜透析を導入し,PSL と MMF の 2 剤にて維持療法をしたが,治療開始 1 年後も再燃を認めず経過している.本児は入院時に末期腎不全であったが,肺出血を生じていたため PE や免疫抑制療法といった積極的治療を行った.比較的高い再燃リスクを考慮し,抗 GBM 抗体とANCA の両者陽性例に対しては長期的な維持療法が考慮されるべきである.