日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
糖尿病性ケトアシドーシスは一過性の Fanconi 症候群を生じる
鈴木 大次郎熊谷 直憲近藤 朋実松本 祐嗣横井 克幸中島 葉子伊藤 哲哉池住 洋平
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2020 年 33 巻 2 号 p. 191-195

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抄録

1 型糖尿病の糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の際に一過性の Fanconi 症候群を生じた症例を経験した.5 歳男児,多飲,多尿,活気不良,高血糖のため入院した.1A 型糖尿病に伴う初発の DKA と診断した.生理食塩水を負荷後,インスリンの持続静注を開始し,入院 24 時間後の時点で DKA から離脱し,インスリン皮下注へ変更した.入院時の検査所見で,尿中β2-MG 高値,代謝性アシドーシス,低リン血症を伴う尿細管リン再吸収率低値,汎アミノ酸尿が認められ,代謝性アシドーシスは, AG 正常性と AG 開大性の両者の代謝性アシドーシスが混在していた.発症後 1 か月の時点で尿細管機能障害は軽快し,一過性の Fanconi 症候群と考えられた.DKA の際には一過性の Fanconi 症候群を生じており,低リン血症や代謝性アシドーシスの評価や治療法の選択には,尿細管機能障害による影響を考慮する必要がある.

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© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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