日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
低出生体重児歴を有する 8 症例の臨床病理像とミトコンドリア障害との関連
宮崎 紘平塩谷 拓嗣大島 理奈森本 優一宮沢 朋生岡田 満竹村 司杉本 圭相
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2020 年 33 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

早産・低出生体重児関連腎症の腎組織像は寡少糸球体,巣状分節性糸球体硬化(focal segmental glomerulosclerosis: FSGS) を主な特徴とする.病理像がミトコンドリア(Mt)腎症の組織像と類似することから,病態形成に Mt 障害が関与すると考えられている.今回,早産・低出生体重の出生歴を有した 8 例を対象に,Mt 障害の指標として COX4,TFAM を含む組織評価を行い,臨床像との関連性を検討した.腎組織では,平均糸球体数は 3.2 個/mm2,5 例で糸球体が寡少で,4 例で FSGS を認めた.7 例の尿細管上皮細胞で Mt 障害を示唆する顆粒状腫大を認め,同部位に一致して COX4 はモザイク染色を呈した.高度な尿細管間質障害を認めた 1 例で TFAM の発現が低かった.電顕では,6 例でクリステが消失した異常 Mt の集積を伴う糸球体上皮細胞の腫大を認めた.本研究により,低出生体重児における腎障害に Mt 障害が関与した可能性が示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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