2020 年 33 巻 2 号 p. 123-129
【背景】2019 年に尿蛋白定量法をピロガロールレッド(PR) 法から塩化ベンゼトニウム(BC) 法に変更後,尿蛋白/尿クレアチニン(Cr)比 0.15 g/gCr 以上の症例が増加したため,原因究明を目的とした.【方法】2017 年 4月より 3年連続して,年 1 回以上,当院で検尿を行った小中学生のうち,診断名が尿異常なし・無症候性血尿の症例を対象とし,早朝尿の尿蛋白/尿 Cr 比等を調べた.【結果】対象は 74 人(男性 22 人,女性 52 人,2019 年時の年齢の中央値 12.3 歳)であった.尿蛋白/尿 Cr 比の中央値は,PR 法を用いた 2017,2018 年度(各々 0.09,0.08 g/gCr)に対し,BC 法を用いた 2019 年度は 0.14 g/gCr と高値であった.【結論】BC 法を尿蛋白定量に用いた場合,PR 法と比較し尿蛋白/尿 Cr 比は高くなる傾向にあった.尿蛋白/尿 Cr 比を評価する際,尿蛋白定量法にも注意する必要がある.