日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
囊胞性腎疾患として管理されていた高度水腎症の 1 例
森本 優一大島 理奈塩谷 拓嗣宮崎 紘平岡田 満杉本 圭相
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2021 年 34 巻 1 号 p. 67-71

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抄録

先天性水腎症をはじめとする泌尿生殖器の先天異常は,胎児超音波検査で診断される最も一般的な形態異常であるが,囊胞性腎疾患との鑑別に困難な例も少なくない.症例は 2 歳男児.胎児期に水腎症を指摘されていたが,囊胞性腎疾患の家族歴があったため,同疾患として経過観察されていたが,再評価を目的に当院に紹介となった.精査の結果,左腎盂尿管移行部通過障害,および高度の腎盂拡張を認め,高度水腎症と診断した.MAG3 シンチグラムにて,分腎機能<40%,尿ドレナージ不良であり,1 歳時に腎盂形成術を施行した.術後 1 年を経過し,左腎盂拡大は残存しているが,尿,血液検査を含め,腎機能は正常範囲である.本例では,家族歴の影響や診断が未確定だったことから,遺伝性疾患に対する過分な不安を生じさせる結果となった.鑑別が困難な症例では,判定時期を含め慎重な評価と診断が必要であると思われる.

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© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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