日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
免疫抑制薬内服下での弱毒生ワクチン
亀井 宏一
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 34 巻 2 号 p. 115-121

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抄録

免疫抑制薬内服中は,国内外の添付文書やガイドラインでは生ワクチンは併用禁忌とされている.一方で,免疫抑制薬内服中は感染症が重症化するリスクが高い.免疫抑制薬内服下での生ワクチン接種はこれまで 21 報告あり計 400 名に 816 回接種されており,致命的な合併症の報告はない.当センターでは,一定の免疫学的条件(CD4 細胞数≥500/mm3,PHA リンパ球幼若化反応のstimulation index≥101.6,血清 IgG≥300 mg/dL) を満たす場合,免疫抑制薬内服下での生ワクチン接種を施行してきた.抗体獲得率は麻疹 80.0~95.7%,風疹 100.0%,水痘 59.1~61.9%,ムンプス 40.0~69.2%で,ワクチン株ウイルス感染症は 1 名のみ(水痘ワクチン,免疫基準設定前の症例)であった.また,全国多施設研究でも約 2/3 の専門医が免疫抑制薬内服下での生ワクチン接種を必要と感じており,781 名の接種者中ワクチン株ウイルス感染症を発症したのは 2 名のみであった.免疫抑制薬下でも弱毒生ワクチンは有効で安全である可能性が高い.今後は,添付文書やガイドラインの文言の修正などを行っていくことが必要である.

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© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会

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