日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群で発症し1年後に重症ループス腎炎と診断した3歳男児
大山 里恵仲川 真由森下 俊真遠藤 翔太武政 洋一大貫 裕太櫻谷 浩志村上 仁彦藤永 周一郎
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2022 年 35 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

2歳時にステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(steroid-resistant nephrotic syndrome: SRNS)で発症し,1年後にループス腎炎と診断した男児を経験した.初回腎生検時には二次性の膜性腎症を疑う所見で,full house patternに近い像を呈していたが,全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)の診断基準を満たさず,ステロイドとアンギオテンシン変換酵素阻害薬,アンギオテンシンII受容体拮抗薬による治療で寛解した.ネフローゼ発症から1年後に高度蛋白尿の再燃とともに血清学的所見も出現し,SLEと診断した.腎生検はループス腎炎IV型+V型で,慢性病変が主体であった.ループス腎炎V型はSLEの診断が困難なことがあるが,後にSLEに進展するdelayed SLEは予後不良である.本症例のように,SRNSで発症するdelayed SLEもあるため,SRNSに対する腎生検の重要性は高く,病理所見でループス腎炎V型の可能性が疑われた場合には,尿検査に加え,定期的に血液検査を行い,早期診断につなげる必要があると考えられた.

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© 2022 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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