日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
混合性結合組織病の診断に先行した膜性腎症の1例
渡邉 浩太郎宇田川 智宏奥津 美夏真保 麻実阿久津 裕子山﨑 晋森 雅亮田中 絵里子富井 翔平三浦 健一郎服部 元史森尾 友宏
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2022 年 35 巻 2 号 p. 117-123

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抄録

混合性結合組織病(MCTD)は抗U1-RNP抗体陽性を特徴とし,全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎/多発筋炎,強皮症の症状が複合した自己免疫疾患である.小児MCTDでは成人より高率に腎症を合併すると報告されているが,腎症が先行することは稀である.筆者らは学校検尿を契機に腎外症状を伴わない段階で膜性腎症を発見し,後にMCTDと診断した症例を経験した.症例は13歳女子.学校検尿で尿蛋白と潜血陽性を指摘され,三次検診で抗U1-RNP抗体強陽性であった.尿検査所見が増悪したため腎生検を含む精査を行った.この時点でMCTDの診断基準は満たさなかったが,腎病理組織像から膜性腎症と診断し,副腎皮質ステロイドと免疫抑制療法を開始した.後にRaynaud現象が出現し,MCTDと診断確定した.腎症がRaynaud現象などのMCTDの腎外症状に先行した稀少な経過であった.

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© 2022 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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