日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
慢性腎臓病スクリーニングのための小児生活習慣病予防健診での血清クレアチニン測定
長谷 幸治 林 正俊井上 哲志上田 晴雄戒能 幸一
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2023 年 36 巻 p. 113-119

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抄録

小児の進行した慢性腎臓病(CKD)の多くが非糸球体性疾患で占められ,その発見は学校検尿では困難である.2020年より愛媛県宇和島市では,小学4年の小児生活習慣病予防健診に血清クレアチニン(血清Cr)の測定が追加され,血清Crに基づいた推算糸球体濾過量(Cr-eGFR)による小児CKDスクリーニングが行われている.同様に2022年に大洲市でも小学4年と中学1年を対象に開始された.これまで合わせて小学4年1,900名,中学1年352名がスクリーングされている.Cr-eGFRが,小学4年は90 mL/min/1.73 m2未満,中学1年は85未満を陽性基準とし,各々125名と19名が要精密検査とされ,うち85名と11名が当科を受診している.結果,CKD stage 2以上が5名,CKD stage 3の常染色体潜性多発性囊胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease: ARPKD)が1名発見された.一般小児人口におけるCKDの潜在的な有病率と小児生活習慣病予防健診における血清Cr測定の有効性が示された.

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© 2023 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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