日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
免疫抑制剤の併用により再発なく経過した小児腎限局性サルコイドーシスの1例
石丸 愛内村 暢 只木 弘美白井 綾乃加藤 愛美神山 裕二伊波 勇輝髙橋 英里佳矢内 貴憲本井 宏尚塩谷 裕美原 良紀福山 綾子出来 沙織稲葉 彩大谷 方子鏑木 陽一伊藤 秀一
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2023 年 36 巻 p. 1-7

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抄録

症例は14歳男児.間欠熱を主訴に受診.熱源精査のため頭部~骨盤造影CTを施行したところ,両側腎臓に多発する造影不領域を認め,間質性腎炎を疑い鑑別を進めた.67Gaシンチグラムにて腎臓の結節性の異常集積を認めたため,サルコイドーシスを疑った.自然に解熱したがCre 1.65 mg/dLと急性腎機能障害を認めたため腎生検を施行し,非乾酪性の肉芽腫性尿細管間質性腎炎の所見を認め,サルコイドーシスと診断した.ステロイドとミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil: MMF)の治療により速やかに腎機能は改善し,寛解を維持した.本症例のように,腎サルコイドーシスにより腎機能障害を認める場合には,線維化による腎機能障害が不可逆的となる前に早期に治療介入することが重要である.また,MMFが小児の腎サルコイドーシスにおいてもステロイド漸減中の再発予防に有用な可能性がある.

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© 2023 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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