2024 年 37 巻 p. 123-127
症例は5歳女児.感冒症状が出現して数日後から発熱,嘔吐,赤褐色尿を認めた.前医検査で尿潜血と尿蛋白を認め,腎炎の疑いで受診した.黄疸と貧血を認め,採血で炎症反応の上昇,正色素性溶血性貧血,間接ビリルビン優位の黄疸,逸脱酵素の上昇,凝固異常と軽度腎機能低下を認めたため血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy: TMA)関連の病態を疑い精査を進めた.直接Coombs試験補体陽性で,Donath–Landsteiner(DL)試験を実施したところ陽性であった.精査の結果TMAは否定的であり,発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria: PCH)と診断した.保存的加療で症状は軽快し,発症3か月後にDL抗体陰性を確認した.