透析用カテーテル(VC)を用いた血液浄化療法では,再循環による透析効率の低下や血栓形成・回路閉塞によるダウンタイムは脱血不良に起因するため,VC先端を適切な部位に留置することは脱血不良の回避のため重要だが,VC先端位置とその脱血性能を多角的に評価した研究は乏しい.今回われわれは,178件のVC使用透析の記録を用いて,内頸静脈留置と大腿静脈留置それぞれについて,VC先端位置と脱血性能の関係を効率およびVC関連トラブル発生率の観点から評価した.最大有効血流量は最大脱血可能血流量から再循環分を差し引いて算出し,トラブル発生率は4段階に分類して検証した.その結果,内頸静脈では気管支分岐部より尾側,大腿静脈ではJacoby線よりも頭側への留置が,高い最大有効血流量と低いトラブル発生率に関連していた.VCを用いた透析を行う際は,これらの部位に先端を留置することで高い透析効率を得,またVC関連トラブルを回避できる可能性がある.