日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
学校検尿で発見され慢性腎不全に進行した症例の臨床的観察
門脇 純一星井 桜子安保 亘倉山 英昭宇田川 淳子水野 愛子乾 拓郎神谷 齋
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1991 年 4 巻 1 号 p. 32-35

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抄録

 学校検尿 (集団検尿) で発見され慢性腎不全 (CRF) に進行した症例につき,臨床的分析を行って報告した。国立療養所4施設にアンケート調査票を送付し依頼した。
 症例は総数で36例となり,男性は21例,女性は15例であった。
 原発性糸球体腎疾患はびまん性増殖性腎炎,IgA腎症,巣状糸球体硬化症,膜性増殖性腎炎Type1などが多く,それ以外の腎疾患では先天性腎疾患,続発性腎症,尿路感染症,蓄積症に続発した腎疾患が多いものであった。
 発見から6ヵ月以内にCRFに進行した症例は意外に多く28%に達していた。また発見時CRF診断時の年齢にも特徴があり思春期にピークがあった,現行の検査法では一部症例は発見が見逃されたり,遅延したりしてる可能性も否定できない反面,早期発見,治療により進行阻止・遅延を期待できる疾患もあり,その点で学校検尿の意義を確認した。

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© 1991 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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