1991 年 4 巻 1 号 p. 28-31
尿路感染症を契機に発見された先天性尿管弁の1歳男児例を経験した。左水腎症が見られ,逆行性腎盂造影にて尿管のL3~L4の高さで狭窄を認めた。また,右側にII度のVURを合併していた。感染のコントロ一ルが困難であるため尿管皮膚痩の造設を予定して開腹したが,腎盂尿管移行部より遠位に硬い索状物が触知された。狭窄の範囲が予想より長く,強度の膿尿が持続していること,水腎症が高度であり腎機能回復は難しいと判断されたことより,左腎尿管摘除術が施行された。尿管の索状の部分の病理所見で平滑筋組織の肥厚が見られたため,先天性尿管弁と診断した。術後の経過は良好である。上部尿路通過障害の一因として本症を考慮することも重要であると思われる。