抄録
腎盂尿管移行部狭窄による小児水腎症49症例 (50検体) を臨床病理学的に検討した。両側性: 9例,片側性: 40例である。合併症としてはVUR (vesicoureteral reflux) が5例,単腎例が4例に認められる。男女比は41 : 8,平均年齢は4.6±4.0歳 (1ヵ月~14歳) である。予後では末期腎不全に2例が進行し,蛋白尿が8例,高血圧が3例に認められる。単腎例4例中3例が追跡観察可能で,2例が末期腎不全へ進行し,生検時既に4例中3例が+4.8SD以上の糸球体肥大を認めた。両側性水腎症例で腎機能の良好な対側に糸球体肥大が認められる。術前と術後6ヵ月の経静脈性腎盂造影像で,改善群と不変或は悪化群を比較すると,後者では前者に比して生検時既に有意な糸球体肥大 (ボウマソ面積,p<0.02,糸球体係蹄面積,p<0.05) を認める。以上の結果から糸球体肥大が進行性増悪機序の一部に関与することが推測される。