日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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原著
正常血圧の慢性腎疾患に対するACE阻害剤の使用経験
—蛋白尿減少効果と血圧に及ぼす影響—
中村 郁哉岡田 雅子都築 一夫野口 弘道露木 ますみ河野 修二伊東 重光美濃 和茂
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1992 年 5 巻 1 号 p. 94-101

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抄録

 近年,アンジオテンシン変換酵素阻害剤 (ACEI) が慢性腎疾患において降圧効果のみならず蛋白尿減少効果があることが報告されている。この効果は血圧の程度とは関係なく,正常血圧者にも投与されている。今回,当科にてACEIを投与した正常血圧の慢性腎疾患患者19例について蛋白尿減少効果と血圧に対する影響などについて検討した。多くの例で投与開始後2週間目頃迄に尿蛋白減少効果がみられた。腎血流に対する影響は一定の傾向が得られなかった。携帯型血圧連続測定装置を用いて血圧に対する影響を検討した結果,一部の例で夜間睡眠中に有意に血圧が低下する例があり,低血圧症状は認めないが注意する必要があると思われた。その他,副作用を疑う症状を認めた例があったがいずれも投与中止にて改善した。慎重に投与すればACEIは蛋白尿の持続する慢性腎疾患に対して有効な薬剤であると考えられた。

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© 1992 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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