日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
小児ループス腎炎18例の治療成績
——ステロイド療法の重要性について——
森本 雄次岡田 要安友 康二香美 祥二船井 守矢野 一郎久原 孝川上 浩一郎浜口 武士黒田 泰弘
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1994 年 7 巻 2 号 p. 252-260

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抄録
 小児期発症のループス腎炎18例 (WHO分類1型1例,II型9例,III型2例,IV型4例,V型2例) に対する治療成績を検討した。18例中,ステロイド剤単独12例,ステロイド剤と免疫抑制剤の併用5例で,他の1例はステロイド剤,免疫抑制剤の投与を行っていない。ステロイド治療に対する反応は良好であり,10年生存率100%,腎生存率100%であった。蛋白尿,血尿の悪化は各々2例,1例にみられたが,他の症例では改善が認められた。血清補体値は全例で改善あるいは正常化し,抗DNA抗体価も全て正常化した。治療後,再生検しえた5例のうち,3例に腎病変の改善を認めた。また,治療中にステロイド中断例が5例あったが,3例が再燃し,うち1例は死亡した。以上より,ループス腎炎では早期診断,早期治療が予後および腎病変の改善に重要であるが,一方,ステロイド維持療法の意義も大きく,治療の中断は予後を著しく悪化させることが明らかとなった。
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© 1994 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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