抄録
小児期発症のループス腎炎18例 (WHO分類1型1例,II型9例,III型2例,IV型4例,V型2例) に対する治療成績を検討した。18例中,ステロイド剤単独12例,ステロイド剤と免疫抑制剤の併用5例で,他の1例はステロイド剤,免疫抑制剤の投与を行っていない。ステロイド治療に対する反応は良好であり,10年生存率100%,腎生存率100%であった。蛋白尿,血尿の悪化は各々2例,1例にみられたが,他の症例では改善が認められた。血清補体値は全例で改善あるいは正常化し,抗DNA抗体価も全て正常化した。治療後,再生検しえた5例のうち,3例に腎病変の改善を認めた。また,治療中にステロイド中断例が5例あったが,3例が再燃し,うち1例は死亡した。以上より,ループス腎炎では早期診断,早期治療が予後および腎病変の改善に重要であるが,一方,ステロイド維持療法の意義も大きく,治療の中断は予後を著しく悪化させることが明らかとなった。