日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
原著
血尿の評価における尿潜血反応と尿沈渣中赤血球数との関係
黒瀬 京子稲場 進荒井 美和子酒井 由紀石原 俊二高井 里香山本 習子松倉 裕喜宮脇 利男
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 9 巻 1 号 p. 97-101

詳細
抄録
 小児の尿185検体において,検尿の各過程を可能な限り定量して行い,試験紙法による尿潜血反応と,鏡検法による尿沈渣中の赤血球数との関係について検討した。
 尿中赤血球数は,尿潜血(-)の検体では平均0.27±0.37個/HPFと低値であったが,(±)以上では検体によるばらつきが大きかった。両法の不一致に影響を与える因子については,尿潜血が同程度でも,尿比重や尿浸透圧の低い検体において尿中赤血球数が低値である傾向が認められた。尿比重や尿浸透圧は,赤血球の溶血しやすさなどに関与し,両法の不一致に関係していると推測された。
 スクリーニング目的の一次検尿においては試験紙法単独でも有用であるが,医療機関などで血尿の正確な評価が要求される際には,手技を統一しても試験紙法または鏡検法単独では限界があり,尿比重や尿浸透圧も含め総合評価すべきと思われた。
著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top