抄録
小児の尿185検体において,検尿の各過程を可能な限り定量して行い,試験紙法による尿潜血反応と,鏡検法による尿沈渣中の赤血球数との関係について検討した。
尿中赤血球数は,尿潜血(-)の検体では平均0.27±0.37個/HPFと低値であったが,(±)以上では検体によるばらつきが大きかった。両法の不一致に影響を与える因子については,尿潜血が同程度でも,尿比重や尿浸透圧の低い検体において尿中赤血球数が低値である傾向が認められた。尿比重や尿浸透圧は,赤血球の溶血しやすさなどに関与し,両法の不一致に関係していると推測された。
スクリーニング目的の一次検尿においては試験紙法単独でも有用であるが,医療機関などで血尿の正確な評価が要求される際には,手技を統一しても試験紙法または鏡検法単独では限界があり,尿比重や尿浸透圧も含め総合評価すべきと思われた。