日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
原著
胎児期に診断された尿路奇形の臨床的検討
荒井 美和子稲場 進酒井 由紀黒瀬 京子石原 俊二山本 習子松倉 裕喜高井 里香宮脇 利男
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1996 年 9 巻 1 号 p. 91-95

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抄録
 胎児超音波検査により発見された腎尿路奇形13例において,出生後早期の超音波所見により高度変化群6例,軽度変化群7例に分類し臨床経過を検討した。高度変化群では利尿レノグラムによる排泄能検査で閉塞パターンを呈し,出生後1年以内に腎盂形成術,膀胱尿管新吻合術等の処置を必要とした。軽度変化群は,VUR1例,孤立性腎嚢胞1例,腎盂拡張のみの症例が5例であった。利尿レノグラムではVUR症例以外は正常もレくは排泄遅延パターンで,腎盂拡張のみの5例では経過観察中に超音波所見の改善または正常化がみられた。腎尿路奇形では超音波検査は予後の判定も可能と考えられ,また非侵襲的に繰り返し検査可能であることから,治療方針決定および経過観察上有用である。
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© 1996 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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