抄録
胎児超音波検査により発見された腎尿路奇形13例において,出生後早期の超音波所見により高度変化群6例,軽度変化群7例に分類し臨床経過を検討した。高度変化群では利尿レノグラムによる排泄能検査で閉塞パターンを呈し,出生後1年以内に腎盂形成術,膀胱尿管新吻合術等の処置を必要とした。軽度変化群は,VUR1例,孤立性腎嚢胞1例,腎盂拡張のみの症例が5例であった。利尿レノグラムではVUR症例以外は正常もレくは排泄遅延パターンで,腎盂拡張のみの5例では経過観察中に超音波所見の改善または正常化がみられた。腎尿路奇形では超音波検査は予後の判定も可能と考えられ,また非侵襲的に繰り返し検査可能であることから,治療方針決定および経過観察上有用である。