抄録
症例は一歳男児。肺炎・気管支喘息重積発作による呼吸不全として集中治療を施行し, その後の臨床経過と胸部CT所見から閉塞性細気管支炎 (BO) が疑われた。その患児の急性期における, 末梢血・痰中炎症性メディエーターを検討した。TH2サイトカインの上昇は認めず, ECPは痰中で末梢血より高濃度に上昇し, 急性期の好酸球・肥満細胞の関与が示唆された。また同時期のフェリチン, TNF-αは高値を示し, IL-8, エラスターゼは末梢血, 痰中で高濃度に上昇しており, 活性化好中球の積極的な病態への関与が示唆された。KL-6, vWFの高値は病変が肺胞実質や間質, 肺血管内皮に及び, 急性肺傷害と類似した病態であったことを示唆した。喀痰からVEGF, FGF等の成長因子が検出された。これらより, 本症例の発症あるいは増悪に, 好中球性炎症を中心とした, 種々の炎症性メディエーターが関与していると考えられた。