日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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気道感染症におけるインフルエンザ菌b型の分離状況
石川 信泰会沢 治朗
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2007 年 18 巻 2 号 p. 137-141

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抄録
気道感染症の起因菌としてインフルエンザ菌 (Hi) は1位を占めるが, 多くは無莢膜株による。化膿性髄膜炎などの起因菌であるHi莢膜株血清型b (Hib) も気道感染症の原因になりうる。今回気道感染症におけるHibの関与について検討した。2006年4月から2007年3月までに小児の喀痰, 鼻咽腔, 後鼻漏など気道由来検体から分離されたHi435株中32株 (7.4%) がHibであった。気道感染症の起因菌に限るとHi175株中9株 (5.1%) がHibであった。Hib32株の薬剤感受性では7株 (21.9%) でβ-ラクタマーゼ産生能陽性であり, BLNAR株・BLNAI株があわせて3株 (9.4%) あった。Hibの薬剤感受性の結果は無莢膜株とやや異なった。気道感染症においても5%程度でHibが起因菌となっており, Hibが飛沫感染により周囲への伝播することを考えるとHib重症感染症発症への関与は大きいと考えられる。Hibワクチンが近々使用可能となるが, 積極的に接種を行っていく必要があると考える。
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