抄録
小児呼吸器疾患における吸入療法の適応は上気道, 下気道, 肺胞においてその効果が期待できる全ての病態であり, 適切な吸入療法の有用性は非常に高いと思われる。しかし, 「気道径が絶対的に細い」, 「1回有効換気量が少ない」, 「深吸気や息止めができない」といった成人とは異なった様々な注意点が存在する小児では, 施行方法によっては効果がないばかりか病態を悪化させてしまう可能性もある。小児に効果的な吸入療法を行うためのポイントは “細い気道” に対しいかに “1回有効換気量” を獲得するかにあり, その構成因子は1) 気道径のサイズ, 2) ポンプ機能 (呼吸筋力), 3) 胸郭コンプライアンス (胸郭のやわらかさ) となる。いずれの因子成分の悪化においても十分な換気量が確保できなくなるため, 吸入効果を高めるには低下因子への補助療法が必要となる。より良い吸入療法を提供するために小児の特徴や個々の病態を考慮した吸入療法を選択したい