生理心理学と精神生理学
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動的視覚ノイズが具象語の処理を反映するERP成分に及ぼす影響
高村 真広宮谷 真人
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2010 年 28 巻 3 号 p. 209-218

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抄録
本研究では,視覚イメージ処理の妨害が具象語および抽象語が惹起する事象関連脳電位に及ぼす影響を調べ,単語処理における視覚イメージ処理の有無と時間経過を検討した。健常成人を対象に名詞の心像性を評定する課題を実施し,視覚ノイズを観察する群(6名)と灰色の静止画面を観察する統制群(6名)を設けて,音声単語が惹起する電位を検討した。結果,視察上で,具象語条件と抽象語条件の電位は前期と後期の時間窓で乖離し,具象語条件で抽象語条件よりも陰性にシフトする効果がみられた。前期の陰性シフト効果は統制群で有意であったが,視覚ノイズ観察群では有意な陰性シフトが生じなかった。この結果は,具象語と抽象語が惹起する脳電位の差は,視覚イメージ処理を含んだ,具象語と抽象語の質的な処理の違いを反映し,特に前期区間における陰性電位は具象語処理における視覚イメージ処理を反映することを示唆する。
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© 2010 日本生理心理学会
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