2015 年 33 巻 1 号 p. 47-54
本研究は,視覚3刺激オドボール課題を用いて,低頻度の刺激が惹起するP3成分を検討し,注意状態の推移について言及することを目的に行われた。高頻度の標準刺激が.80,低頻度の逸脱刺激が.15,そして低頻度の標的刺激が.05の確率でそれぞれ14名の大学生に呈示された。低頻度の逸脱刺激および標的刺激は,すべてのブロックにおいてP3を惹起した。ブロックの進行に伴って,Deviant P3の振幅値は減衰していくが,Target P3において同様の傾向は見られなかった。また,Deviant P3の頭皮上分布に着目すると,ブロック1においては,中心部優勢の分布であるものがブロック2以降では頭頂部優勢に変化していることが示された。またブロック1においても,徐々に頭頂部優勢にシフトしていることが示された。これは,当初課題非関連の逸脱刺激が受動的に注意を惹いていたが,実験の進行に伴い,反応を求めない刺激として能動的に注意を向け処理されていたことを示唆している。