生理心理学と精神生理学
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33 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集 選択的注意
  • 河西 哲子, 河原 純一郎
    原稿種別: 特集
    2015 年 33 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2016/08/11
    [早期公開] 公開日: 2016/05/31
    ジャーナル フリー
  • 奥村 安寿子, 河西 哲子, 室橋 春光
    原稿種別: 特集
    2015 年 33 巻 1 号 p. 5-17
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2016/08/11
    [早期公開] 公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー

    流暢な読みは,個々の文字から単一の文字列表象への迅速な統合を要する。先行研究はこのような過程が,文字列特異的に増強する左半球優位な事象関連電位(event-related potentials: ERPs)であるN170に反映されることを示してきた。しかし我々のこれまでの研究は,高速で提示される刺激系列において,注意が文字列に向けられていない,あるいは文字間隔が広いときに,ひらがな文字列に対して両半球で増強するN170を見出した(Okumura et al., 2014, 2015)。本研究は,この反応が個々の文字の処理を反映する可能性を検討するために,広い文字間隔のひらがな単語,非語,記号列に対する片側性ERP注意効果を測定した。12名の参加者は,高速提示された刺激列の一端に注意を向け,注意位置に標的が出現したらボタンを押すよう求められた。その結果,ひらがな文字列に対する両側性のN170増強 (刺激提示後130—210 ms) とともに,空間的注意効果(160—210 ms)が刺激によらず認められた。これらの結果は,文字間隔が広いとき,または注意が文字列を覆わないときには,文字列に対するN170増強に文字レベルの処理が関わることを示唆する。

  • 木村 元洋, 武田 裕司
    原稿種別: 特集
    2015 年 33 巻 1 号 p. 19-31
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2016/08/11
    [早期公開] 公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー

    視覚ミスマッチ陰性電位とよばれる事象関連脳電位成分は,視覚刺激系列に内在するルール妨害事象の自動的な処理を反映する。課題に関連しない刺激系列に内在するルール妨害事象の処理がトップダウン制御によって影響されるか否かを調べるため,我々は実験参加者の随意的行為が視覚ミスマッチ陰性電位に及ぼす影響を,二重課題デザインを用いて検討した。一次課題として,実験参加者は中心凝視点の突然のサイズ変化を検出することを求められた。二次課題として,一方のボタンを高頻度(およそ90%),他方のボタンを低頻度(10%)で,ランダム順に押すことを求められた。これらのボタン押しにより,周辺位置に課題非関連の刺激系列が作り出された。高頻度で行われたボタン押しはルール適合刺激を生じさせたが(81%),時々,ルール妨害刺激を生じさせた(9%,外部によって作り出されたルール妨害事象)。一方,低頻度で行われたボタン押しはルール妨害刺激を生じさせたが(9%,自分が作り出したルール妨害事象),時々,ルール適合刺激を生じさせた(1%)。視覚ミスマッチ陰性電位は,外部によって作り出されたルール妨害事象によって惹起したが,自分が作り出したルール妨害事象によっては惹起しなかった。この結果は,課題に関連しない刺激系列に内在するルール妨害事象の処理が,トップダウン制御によって変容しうることを示している。

  • 栗木 一郎, 大森 暢喬, 柏瀬 啓起, 松宮 一道, 徳永 留美, 塩入 諭
    原稿種別: 特集
    2015 年 33 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2016/08/11
    [早期公開] 公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー

    視知覚の能力を促進する視覚的注意の広がりは,空間的注意と物体随伴性注意の2つに分類される。注意の焦点を中心に広がる空間的注意とは対照的に,物体随伴性注意の広がりは注意の焦点を包含する物体内部に限られる。物体随伴性注意が,注意スポットライトの変形とスポットライトの定位における優先順位のどちらで実現されているかは,長く議論の対象になっている。本研究では,心理物理実験中に脳波(EEG)の一種である定常視覚誘発電位(SSVEP:振幅が注意の影響を受ける)を測定することにより,この問題にアプローチした。脳波計測中,参加者は物体随伴性注意を観測できるRVSP課題に加え単純な検出課題を行ない,注意の広がりを心理物理の手法で測定した。空間位置に依存して異なる時間周波数で視覚刺激を点滅させ,脳波成分と空間位置とのタグ付けを行なった。その結果,心理物理実験とSSVEP振幅の両方で物体随伴性注意の効果を確認した。同時に,テスト刺激以外の位置にランダムに呈示される妨害刺激により事象関連電位に変化が生じなかったことから,我々の研究で観測された物体随伴性注意は,優先順位によるスポットライトのシフトのような動的メカニズムではなく,静的なメカニズムに起因することを示唆していると考えられる。

  • 森本 文人, 片山 順一
    原稿種別: 特集
    2015 年 33 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2015/04/30
    公開日: 2016/08/11
    [早期公開] 公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,視覚3刺激オドボール課題を用いて,低頻度の刺激が惹起するP3成分を検討し,注意状態の推移について言及することを目的に行われた。高頻度の標準刺激が.80,低頻度の逸脱刺激が.15,そして低頻度の標的刺激が.05の確率でそれぞれ14名の大学生に呈示された。低頻度の逸脱刺激および標的刺激は,すべてのブロックにおいてP3を惹起した。ブロックの進行に伴って,Deviant P3の振幅値は減衰していくが,Target P3において同様の傾向は見られなかった。また,Deviant P3の頭皮上分布に着目すると,ブロック1においては,中心部優勢の分布であるものがブロック2以降では頭頂部優勢に変化していることが示された。またブロック1においても,徐々に頭頂部優勢にシフトしていることが示された。これは,当初課題非関連の逸脱刺激が受動的に注意を惹いていたが,実験の進行に伴い,反応を求めない刺激として能動的に注意を向け処理されていたことを示唆している。

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