生理心理学と精神生理学
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評論
心拍変動の有用性――高周波および低周波成分に着目して――
榊原 雅人
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2018 年 36 巻 1 号 p. 28-39

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抄録

正常な心臓の拍動は常にゆらぎを生じており,これを心拍変動(heart rate variability)と呼ぶ。心拍変動は心臓に対する自律神経活動の影響を受けており,これまで生理心理学や関連領域の多くの研究に利用されてきた。本稿は心拍変動の主な変動成分である高周波(high frequency: HF)と低周波(low frequency: LF)に着目し,(a) それらに関わる自律神経機能,(b) 心拍変動の増大と心身の適応,(c) 呼吸性不整脈と圧受容体反射の共鳴がもたらす治療的な効果について解説した。ホメオスタシスを支える自律神経活動を”振動システム”という視点からみたとき,心拍変動の分析はストレスやリラクセーションのような心理学的変数の影響を評価する有用なツールとなる。さらに,心拍変動の共鳴特性は健康の増進において重要な役割を演じている。

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© 2018 日本生理心理学会
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