抄録
本研究は視覚刺激(人工観葉植物)と嗅覚刺激の対提示が,心理的・生理的反応に及ぼす影響について検討した。具体的には,統制群,視覚刺激群,嗅覚刺激,視覚・嗅覚刺激群を設け,心的ストレス課題における心理的(課題前後)・生理的反応の時系列的変化(課題前・課題中・課題後)を検証した。
その結果,人工観葉植物・嗅覚刺激の対提示群において,心的ストレス課題中の心臓血管反応は他の群に比して有意に低い値で推移した。これは,人工観葉植物のみの提示に比して人工観葉植物と嗅覚刺激の対提示の方が,心的ストレス緩和をより促進する可能性を示唆するものであった。