抄録
我々は水-メタノール混合溶液中での化学浴析出(CBD)法により,遷移金属の層状水酸化酢酸塩膜を合成し,それを熱処理することによって多孔質な酸化物半導体膜を作製する方法を開発した。本研究ではナノ構造のp型NiO膜を得ることを目的として,特に,CBD法に用いる溶液へのLi添加効果について調査した。このことにより,析出する層状ニッケル化合物膜のマクロ構造および熱処理後のNiO膜のナノ構造を制御することができた。また,得られたNiO膜が色素増感太陽電池のフォトカソードとして有望であることがわかり,その光電変換効率は従来の報告値を100%上回るものであった。さらに,TiO2フォトアノードと組み合わせたn/pタンデム色素増感太陽電池を構成し,その性能を評価した。