生理心理学と精神生理学
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Measurement of object-based attention with steady-state visual evoked potential
栗木 一郎大森 暢喬柏瀬 啓起松宮 一道徳永 留美塩入 諭
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論文ID: 1505si

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抄録
視知覚の能力を促進する視覚的注意の広がりは,空間的注意と物体随伴性注意の2つに分類される。注意の焦点を中心に均等に広がる空間的注意とは対照的に,物体随伴性注意の広がりは注意の焦点を包含する物体内部に限られる。物体随伴性注意が,注意スポットライトの変形とスポットライトの定位における優先順位のどちらで実現されているかは,長く議論の対象になっている。本研究では,心理物理実験中に脳波(EEG)の一種である定常視覚誘発電位(SSVEP:振幅が注意の影響を受ける)を測定することにより,この問題にアプローチした。脳波計測中,参加者は物体随伴性注意を観測できるRVSP課題に加え単純な検出課題を行ない,注意の広がりを心理物理の手法で測定した。空間位置に依存して異なる時間周波数で視覚刺激を点滅させ,脳波成分と空間位置とのタグ付けを行なった。その結果,心理物理実験とSSVEP振幅の両方で物体随伴性注意の効果を確認した。同時に,テスト刺激以外の位置にランダムに呈示される妨害刺激により事象関連電位に変化が生じなかったことから,我々の研究で観測された物体随伴性注意は,優先順位によるスポットライトのシフトのような動的メカニズムではなく,静的なメカニズムに起因することを示唆していると考えられる。
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© 2016 日本生理心理学会
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