抄録
血圧 (BP) と心拍数 (HR) に及ぼす音読と聴取の効果を, 24名の正常血圧者で測定した.被験者自身のペースでの音読は, 収縮期血圧 (SBP), 拡張期血圧 (DBP), HRの有意な増加を引き起こした。さらに, 速いテソポでの聴取は, DBPの有意な増加と関連していた.これらの結果は, BPが発声という行為のみならず, 言語活動中の認知過程でも変動することを示唆する.加えて, 音読によるBPの増加量は, 休憩時のべ一スライソレベルと正の有意な相関があった.すなわち, ベースラインBPが高けれぽ高いほど, 音読によるBPの増加量も大きくなる.これらの結果を, 高血圧者の臨床的処遇についての先行研究を参照して考察した.