生理心理学と精神生理学
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血圧反応性の亢進は将来の高血圧発症を予測できるか?
澤田 幸展
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1998 年 16 巻 1 号 p. 49-64

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抄録

反応性仮説の主張によれば, 標準化された精神的ストレッサー (昇圧テスト) に対して血圧反応性に充進を認める個人は, 高血圧を発症する危険性がある, あるいは, いっそう強い主張として, そのような過剰反応性は原因の-つをなす, という.本評論では, 心理テストにおける信頼性および妥当性の概念を昇圧テストに適用して, この仮説が再評価された.テスト内, テスト間, および, テスト-エピソード (実験室-日常生活) における信頼性, 並びに, 広義 (予測因子として) および狭義 (寄与因子として) の予測的妥当性, さらには, 広義の併存的妥当性 (テスト対高血圧家族歴) が, それぞれ評価された.総じて, 昇圧テストはせいぜい中等度の信頼性と妥当性しか有しておらず, したがって, 反応性仮説の内容は十分に肯定できるものとはいえなかった.

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© 日本生理心理学会
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