生理心理学と精神生理学
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睡眠相の前後に生じる主観的眠気と自覚症状の検討
-健常者のNREM睡眠と入眠時REM睡眠の比較-
石井 由起山本 由華吏竹内 朋香山崎 勝男
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2000 年 18 巻 3 号 p. 247-256

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抄録
睡眠はその生理的特徴からNREM睡眠とREM睡眠に2大別される.本研究ではこれらの睡眠相の前後に生じる自覚症状を検討し, 特にREM睡眠における生理的特徴と自覚症状の関係を論じた.実験は健常者14名に対し, 入眠時REM睡眠 (SOREMP) の誘発に「中途覚醒法」を適用し, 各睡眠期の前後に関西学院版眠気尺度 (KSS) と自覚症状調べを実施した.その結果, SOREMP出現前後はNREM睡眠のそれらに比較して, KSS値や「ねむい」, 「あくびが出る」, 「横になりたい」などの訴え率に有意に高い値を認めた.また, NREM睡眠出現後はSOREMPのそれに比較して, 「まぶたや筋がぴくぴくする」という訴え率が有意に高かった.したがって, SOREMP出現前は主観的眠気が強く, 眠気に関する訴え率の高いことが示唆された.これらの自覚症状には, REM睡眠期の覚醒水準の高さが反映しているというよりは, 筋電位などの生理的特徴や深部体温リズムが関連すると考えられた.
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© 日本生理心理学会
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