生理心理学と精神生理学
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自己覚醒法による短時間仮眠後の睡眠慣性抑制効果
甲斐田 幸佐入戸野 宏林 光緒堀 忠雄
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2001 年 19 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

午後の眠気 (post lunch dip) を抑制するために短時間仮眠が有効であるが, 仮眠後には睡眠慣性が残る.本研究では, 短時間仮眠後の睡眠慣性を低減させることを意図して, 自己覚醒の効果を検討した.実験参加者は, 大学生・大学院生10名であった.参加者は14 : 00から, 強制覚醒条件では20min, 自己覚醒条件では約15min (10-20min) の仮眠をとった.仮眠前に2セッション (IOmin), 仮眠後に6セッション (30min) の課題を行った.課題は, 客観的覚酉星水準の指標であるP300を測定するための聴覚オドボール課題と主観的眠気および気分を測定するためのVisual analog scale (VAS) を用いた.分析の結果, 仮眠後のP300振幅は, 強制覚醒条件で有意に減少したが, 自己覚醒条件では変化しなかった.また, 仮眠後の主観的眠気および気分は, 強制覚醒条件より自己覚醒条件で有意に改善した.以上の結果は, 自己覚醒が仮眠後の睡眠慣性を抑制するために効果的であることを示唆している.

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© 日本生理心理学会
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