生理心理学と精神生理学
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上下視野間での注意の非対称性
-刺激属性に対する注意の効果について-
内藤 智之苧阪 直行
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2002 年 20 巻 3 号 p. 215-224

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抄録

色と線分で定義される目標刺激検出課題において視覚誘発電位を測定した.目標刺激は, 4つの位置に呈示された (上半視野6度・上半視野9度・下半視野6度・下半視野9度).正答率は, 呈示位置が上半視野9度のとき有意に低かった.記録した視覚誘発電位において, 後頭に配置した電極からN2pc成分が観測された.下半視野条件において, 目標刺激呈示時に後期N2pc成分は妨害刺激呈示時よりも有意に振幅が大きかった.上半視野条件では, このような目標刺激呈示による後期N2pc成分の振幅増大は観測されなかった.後期N2pc成分は色や形などの属性に対する注意の効果を表す成分として知られている.従って, 上半視野9度条件における目標刺激検出率が他の条件に比べて低いことの原因は, 後期N2pc成分に反映される, 属性に対する注意の効果が見られなかったことと関連していると考えられる.すなわち, 属性に対する注意の効果は上下視野間で非対称に働き, 上半視野で働きが弱いことが示唆された.

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© 日本生理心理学会
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