生理心理学と精神生理学
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AD/HD児における反応抑制とエラー認知機能の評価-CPT課題におけるERPを指標として-
松本 秀彦諸冨 隆
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2004 年 22 巻 1 号 p. 43-55

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抄録
本研究では, 注意欠陥・多動性障害児 (AD/HD) における反応抑制とエラー処理の2つの心理生理的過程に焦点を当てた検討を行った.AD/HD児17名, 健常児8名, 健常成人13名を対象にしてcontinuous performance test時におけるNOGO電位とエラー関連陰性電位 (ERN) を記録し, AD/HD児においては, それらの生理指標を行動指標による心理特性分類に従って評価した.AD/HD児におけるNOGO電位は健常児と同様に, 健常成人に比べると高振幅で, 潜時が遅かった.このことは, AD/HD児の問題が反応抑制の欠損というよりも行動調整機能の成熟途中であることを示唆している.また, NOGO電位の潜時は年齢と負の相関が認められ, 直線的な潜時の短縮を示した.このことから前頭機能は前頭前野の成熟によって発達することを示唆している.一方で, 衝動性の高いAD/HD児においてはERN潜時が遅いことから行動調整の速度の遅さが指摘され, 低い標的ヒット率を示す不注意性のAD/HD児においても, ERNの惹起が認められることから, エラー認知といった認知機能を維持している持続的注意に問題があることが示唆された.
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© 日本生理心理学会
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