2004 年 22 巻 3 号 p. 225-236
Go/NoGo課題とStop/NoStop課題の認知処理の違いを明らかにするために, 被験者 (N=50) には, 5つのカテゴリからなる画像刺激が提示された.Go/NoGo課題条件では, 被験者は人物刺激に対してのみボタン押しをするよう求められた.Stop/NoStop課題条件では, 被験者は自動車刺激に対してのみ反応を抑制し, 人物刺激を含めて, 他の刺激全てに反応しなければならなかった.2種の課題において記録された事象関連脳電位には, 大きな二峰性の陽性波 (P3) が生じた : 300ms近傍の下位成分と400ms以降, 広範に分布する下位成分が認められた.初期および後期P3の頭皮上分布や潜時は, P-SRおよびP-CR (Falkensteinetal., 1994) と類似していた.初期P3は刺激評価を, 後期P3はその後に続く運動一反応処理を反映すると推察された.NoStop刺激に対するFzの初期および後期P3の振幅と反応時間との間に有意な相関が認められた.しかし, Go刺激に関しては, これらの相関は有意でなかった.これらの結果は, Go/NoGo課題にくらべStop/NoStop課題においては運動-反応処理が重要な役割をもつことを示唆している.