レム睡眠中には, 鮮明で, 奇異・不合理な内容を含み, 情動豊かで印象的な夢見体験が生じる。これに加えて, レム睡眠中にはまるで起きて何かを見ているかのような急速な眼球運動も観察され, 夢との関連が指摘されている。本稿では, レム睡眠中の急速眼球運動と夢見体験との関連を基にこれまで行われてきた夢の科学的検討を報告し, 著者らが行ったレム睡眠中の急速眼球運動に伴う事象関連電位 (event-related brain potential : ERP) の検討を紹介する。この検討により我々は, レム睡眠中の夢における視覚心像の生成過程について考察を行なった。