生理心理学と精神生理学
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上下視野パタン刺激への選択的注意が事象関連脳電位に及ぼす効果
沖田 庸嵩諸冨 隆田中 春美小西 賢三
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1990 年 8 巻 2 号 p. 81-93

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抄録
被験者にパタン刺激を上・下視野に無作為な順序で次々と, 430-540ms間隔をもって短時間呈示し, 事象関連電位 (ERP) を記録した.注意条件では, 被験者に中央の点を固視した状態で, 上・下いずれか一方の視野に注意を払い, そこに呈示されるパタンが僅かに異なる標的刺激を検出するように教示した.また, 固視点移動に伴うERP変化を調べるため, 課題なしの統制条件も施行した.パタン視覚誘発電位 (VEP) に関する従来の研究に一致して, 頭頂・後頭部における初期ERP波は上・下視野刺激で明瞭な極性反転を示した.すなわち, 上視野刺激にはP120-180, 下視野刺激ではN140-190が惹起された.選択的注意はこれらのP120-180とN140-190の振幅を増強した.統制条件の固視点移動は注意効果とは異なるERP変化をもたらした.これらの結果はパタン特異VEPのC2成分における注意効果を示唆する.
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© 日本生理心理学会
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