2025 年 3 巻 1 号 p. 3-20
目的:肢体不自由特別支援学校から「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」を,リハビリテーションセンターから目標に関する情報(以下,リハ目標シート)を相互に提供し,それらの情報の活用状況と有用性を明らかにすることを目的とした。
方法:リハビリテーションセンターに通院中の児童生徒に関わる担任教員24名と理学療法士3名を対象とし.記名式質問紙にて共同意思決定の実践状況,児の所属,横地分類,目標の分類,カナダ作業遂行測定の変化量,「リハ目標シート」及び「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の活用状況と有用性について調査した。情報提供の有用性に関する自由記述の内容は質的記述的分析を行った。
結果:対象児の約半数でカナダ作業遂行測定が2点以上改善した。「リハ目標シート」,「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」についてほぼ100%有用と回答していた。質的分析から各機関で提供した情報の活用状況と有用性が確認された。
結論:肢体不自由特別支援学校とリハビリテーションセンター双方向に情報を提供したことで,児のより多面的な実像を捉えられたことが示唆された。質的分析から理学療法士は,自立活動の理解を深めること,教員は,定量的評価を実施し,具体的な目標設定を行うことなどが,今後の課題として抽出された。